未来食堂通信

カテゴリ:イタリア本( 2 )

つづき!

「美の歴史」、「醜の歴史」に続くウンベルト エーコによる芸術史、芸術分類書 待望の第三弾 「芸術の蒐集」(VERTIGINE DELLA LISTA)ついに発刊!!!

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天使の名前リストは圧巻!!!!


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おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!(全部知らん)






第三巻の本書は序文でホメロスの「イリアス」における軍船の列挙や、ジョイス「ユリシーズ」主人公レオポルド ブルームのキッチン・サイドボードの引き出しの中身の列挙を紹介。



その後、上記のような絵画の中の列挙。





「物の時代」「人生使用法」のジョルジュ ペレックの「サン シュルピス広場、第一日」「パリの場所を究める試み」における午前10時30分から疲労による休息までの厳密に可視的な事物の目録スケッチ。





死に際の「喜劇は終わった。幕を引け。」の言葉で有名なフランソワ ラブレー「ガルガンチュアとパンタグリュエル」のなかの 僕から唾をひっかけられる心配のない動物たち・・・のリスト。






主よ、われらをあわれみたまえ / キリストよ、われらをあわれみたまえ から始まる「聖マリアの連禱」





など(この本においては 「など」という言葉が本当につまらないものに思えてくる。)芸術、文学、宗教に潜む列挙、目録、羅列、並列、リストのエクスタシーについて さまざまな分類を試みながら縦横無尽に語りつくす内容に興奮をかくせない。




なぜなら 普段からワインリスト、メニューリストに慣れ親しむ我々 ワイン好き、レストラン好き、料理人も、ソムリエも 当然 みんな リストマニア!
フランス版(イタリア版もだけど・・)ミシュランなんかはその象徴で文字と記号の羅列にすぎないこの本を気がつくとみんなずっと読んでいるし、タイユヴァン、ピンキオリのワインリストがもし図書館で貸し出されていたらみんな借りてると思う。



エーコは言っている。


「レストランのメニューは実用的なリストである。しかし、料理本にでてくる最も名高いレストランのさまざまなメニューのリストは、もはや詩的価値を獲得するだろう。同じように、中国料理店のメニューを、番号が付けられた料理の頁をめくって読みながら、(注文するために見るのではなく、審美的理由から読みながら)エキゾティックな料理の豊富さを夢想することもできる。」



僕の店のメニューもこういうリストマニア的なところからつくっている。地方料理の探求はまさにそれ!。ロスが出ないんだったら パスタのメニューも30種類ぐらいおきたいし、ジビエのメニューも10種類ぐらいやりたい。席数も40席ぐらいでやりたい。僕がトラットリアやビストロに求めるのはこういうメニュー数の豊富さや客数やその会話も含めた羅列が織りなす イタリア語で言うところの ENTUSIASMO (エントゥジアズモ)=熱狂である。



僕の店はたかだか20席の小さい店だが ときどきこの ENTUSIASMO が店全体で渦巻くのを感じるときがある。会話が会話を呼び、あらゆる料理やワインが次から次へと口へ運ばれていく。小声ではオペレーションが回らなくなり、生半可な作業スピードでは提供が追いつかない。だから厨房もつられて 熱狂に巻き込まれていく。ホールの会話は会話に聞こえなくなり ただ意味不明の、(単語にも聞こえない) 音声の羅列に変わっていく。






僕もエーコもこの列挙、羅列から発生する ENTUSIASMOに 魅了されているのである。





 

エーコの真似をしてパスタのリストをつくってみる。




c0175267_2183144.jpgカペッリーニ / カッペレッティ/フェデリーニ /スパゲティーニ / スパゲッティ/ リングイネ/ ブカティーニ / リッチャレッレ / フェットチーネ /タリアテッレ / トレネッテ/カネロ-ニ /キフェリ リガーティ/ジェメッリ /マッケローニ リガーティ /ペンネ /アニョロッティ/ トルテッリ /トルテッリーニ /トルテッローニ/メッツァルーナ/ ラビオリ /バヴェッテ/カヴァティエッディ/ フレーゴラ /オンブリケッリ/ペンノーニ/ ズィーティ/カンデッレ /パッケリ /カサレッチェ /セメチコリア/ パッサテッリ /マファルディーネ/ フジッリ/ フジッローネ/ フレニャッチェ /ロリギッタス /フィンフェルリ/ ファゴッティーニ/ フェットゥッチェ/ ファッツォレッティ/ストラシナーティ/キアンカレッレ/ ガッセ /サーニェ キーネ/トローフィエ/スパッツェレ /コンキリエ / コンキリオーニ/ストラッチ /コルツェッティ/ディスキ ヴォランティ /カネーデルリ /メローネ / サッコッティーニ/ カッペラッチ/ カゾンセイ /ステッリーネ /ストランゴッツィ /ストロッツァプレーティ/ ストラングラプリヴェーテ /クォレッティ /エリケ/ ルマーケ /オレッキエッテ/ カンパニョーレ/ コンキリエ/ ラザーニェ /ラザニェッテ /ナストリ/ルオータ/ パスタ ラーザ /ファルファッレ/ タィヤリン /ビーゴリ /コルディチェッレ/マッケロンチーニ ディ カッラーティ /ピッツォッケリ/ニョケッティサルディ /フェットチーネ/ タリオリーニ/ トルッキエッティ /リッチョリ /カラマレッティ/パッパルデッレ/ クリスタイアーテ/カネッローニ /ガルガネッリ/ カッサータ /チャルソンス/ウンブリチェッリ/ウンブリケッリ /サーニェ/サーニェ ンカンヌラーテ /ピーチ /チリオーレ/マッロレッドゥス /チカテッリ/ ブシアーティ/ カヴァテッリ /マッケロンチーニ ディ カンポフィローネ /キタッラ/アネッリーニ/トリアンゴリ/マファルデ /フォーリエ ディ オリーヴェ/ マルタリアーティ/ ニョッキ /ニョッキ アッラ ロマーナ/ ニョッキ ディ リーゾ /フィレイヤ/テスタローリ /シラテッリ/ シャラティエッリ/ラガーネ/トロッコリ/トロンケッティ/マンフリーコリ/スコンチリ/ガルガーティ/クロセート/マッケロンチーニ アル フェッロ/カステッラーネ





快感!!





ちなみに お店は17日までお休みです。18日 ディナーからスタート・・・・



















 












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by tre-lumache | 2011-08-16 03:09 | イタリア本

イタリア本    一か月に一回ぐらいの新シリーズ






突然ですが 我がイタリア郷土料理・文化研究所 ラ パニョッタの活動の一環として月一回ぐらいのナチュラル ペースでイタリアに関係のあることが書かれた本をいろいろ紹介していこうと思います。とはいっても僕の変態読書遍歴がベースなのでイタリア料理しか興味のない方は読んでもあまり面白くないかもしれませんが・・・・・・・





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さて、数回にわたって フランスかぶれ編をこのブログで書きましたが、面白かったのはフランスのことを書いてる時のほうが、イタリアのことを書いている時よりも、twitterのDMやメールを通したリアクションを世の中のフランスかぶれからたくさんいただいたこと。 ここに何かしらイタリアかぶれとフランスかぶれの性質の違いが示唆されているようで興味がわきました。もっと拡大解釈・拡大推論してみるとフランス人とイタリア人の気質や文化の違いをも示唆する現象なのではないでしょうか。ちなみに加藤紀子からはまだ何もありません。(ノリチャン、マッテマス!!!!)


そんな初めてかもしれないネット コミュニケーションに触発されたわけではないのですが、僕の今年のテーマは「柔軟性」と「色眼鏡をかけない」なので最近フェイスブックも始めてみました。大阪はとくに年齢が40代未満の方々のインターネットを使ったレストラン同士のネットワーク作りや交流が盛んですが、ちょうど僕の年齢ぐらいを境にして上の世代の方々になると、ブログもツィッターもフェイスブックもやらない飲食業界人・料理人がたくさんいます。寡黙でアウトロー気味でアンチソーシャルな職人気質とでも言うんでしょうか?でも実はよくしゃべる人のほうが多い・・・・・・


しかし、自分は世代的にいうとちょうどあいだ。


好きなのか?嫌いなのか?、ヤリたいのか?ヤリたくないのか?そんな自問自答を5万回ぐらい繰り返しながら、結局 フェイスブックも、このコメントを受け付けていないブログも、自分でも理由がわからないままその目的を定義できずに漂流・浮遊感たっぷりに精神的デラシネ状態でやっているだけなので、本当に自分は、インターネットを器用に使いこなすジェネレーション Y(1975生以降)以前の人間なのだとつくづく思います。そういえば我が母校関西大学に授業用にインターネットが使えるコンピュータが大量に導入されたのは卒業直後だったなー。。俺の学費で買いやがって・・・とか思ったので鮮明に記憶が残っている。



で、今回紹介させていただくのは急激に進むネット・デジタル社会にいまいちついていけてない僕のような人間が読まなければいけないんじゃないだろうか?(他にもたくさん同じような精神状態の方がいらっしゃると思います)と思って本屋で手に取ったこの本。帯にある「紙の本は、電子書籍に駆逐されてしまうのか?」というところを、「ネットを使いこなせていないアナログ料理人は、デジタル料理人に駆逐されてしまうのか?」という感じに置き換えてみると自分の今の精神状態をよくあらわしているのではないでしょうか(苦笑)




そしてもう一つの購買理由が イタリアが誇る小説家、記号学者、哲学者、中世学者、文芸批評家、ボローニャ大学人文科学部長である ウンベルト エーコ(Umberto Eco)の名前が が本の表紙にあったこと。



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この写真はかっこよすぎ・・・(実物はもっと××××)




だから「どこがイタリア関連本やねん!」とものすごいツッコミをされる方もいらっしゃったかもしれませんが僕のフィルター内ではイタリア関連本。
さらに、「薔薇の名前」、「フーコーの振り子」などのベストセラーで日本でも有名な件のエーコがフランスの劇作家、脚本家であるジャン=クロード・カリエール(Jean-Claude Carriere)と「本」について対談するという「イタリア VS フランス」の図式が完全に琴線に触れてしまい、購入してしまいました。



ところで、この本を実際に読んでみると「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」というタイトルや「紙の本は電子書籍に駆逐されてしまうのか?」という帯に書かれているフレーズが示す問いに対しての返答はこの本に書かれている対談内容の中ではほんの一部にしかすぎないことがわかります。

つまり 「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」という題名は、原題に対してかなりの意訳。家でじっくり手に取ってみて気付いたのですが、原題は「N'espérez pas vous débarrasser des livres」。「本を駆逐する期待をしてはいけません」意訳を含めたとしても「本を駆逐しようとしても絶対無理」みたいな感じ。(一応大学ではフラ語)




対談のコーディネーターであり、司会進行役であるフランスのエッセイスト ジャン=フィリップ・ド・トナックが冒頭でそのような「紙の書物は絶滅してしまうのか?」というテーマを2人に投げかけますが、そこはインキュナブラ(西欧で作られた最初期の活字印刷物のことであり、グーテンベルク聖書以降、1500年までに活版印刷術を用いて印刷されたものを指す)収集家でもある彼ら、2人とも一通りの自己見解を述べながらどんどん 本にまつわる別の話を展開していきます。




その対談は フィリップ スタルクからフェリーニ、チャップリン、キルヒャー、インド神話からイエス、ナチズム、ゲッベルス、ベートーヴェンからシェイクスピア、ユゴー、ブルトン、バルザック、アンディ・ウォーホル、サッカーのトッティにいたるまで!! 森羅万象、自由闊達で実におもしろい。







そして今、イタリア料理が抱えている問題にもつながる・・・心に響く内容なのでした。







つづく




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by tre-lumache | 2011-07-27 04:45 | イタリア本