未来食堂通信

カテゴリ:塚口考( 3 )

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自作短編読み物 「メニュー考」 


~塚口のワインバーへのオマージュ~


先日ポンテヴェッキオの山根氏が光栄にも来店くださった。

翌日、後学のためと思い氏のレストランのホームページを拝見したのだが

料理の一つ一つにストーリーとコンセプトが克明に表記されているのに


とても感銘を受けさしていただいた。


一貫しているのは料理の中の論理性と言葉にも表れるその表現力。


私も日ごろから料理人として料理を創る際、氏の様になにかしら


論理性とストーリーを持って料理を創りたいと思いメニューを考案しているので


僭越のそしりではあるが、たまには紹介させていただきたい。



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前後の経緯は省略させていただくが、


今年1月 塚口のワインバー ナジャ(敬称略&多謝)  を恥ずかしながら初訪問した際、


「イノシシばら肉の尼崎ワンダフルソースであえた スパゲティ」 


(メニュー名失念) を注文した。




どうしても一人で一皿程度食べたかったのだが 




同行していた当店女性スタッフの「イノシシのクスクスも食べたい」という




恣意的で我欲な主張と ナジャ(敬称略&多謝)  のイノシシ在庫状況により



泣く泣く一人前に・・・

一人前を5人で分ける。


野菜や肉ではなくソースという調味料で地産地消しているこのパスタは


関西全中産階級のノスタルジアを喚起し、たかだかここ30年少々で急速に日本の食生活


、および飲食業界に浸透したイタリア料理におけるパスタの脆弱さを露呈さしめた。


おいしさのあまり、


複数人で一皿を共有する際、頻繁に見られる日本人特有の「取り分けの遠慮」にかこつけて 


できるだけ我が皿に料理を確保するも所詮一人前。


あまりにも足らなかった・・・・・・




「だから二人前注文したかったんや」



という女性スタッフへの怨言も空しく 



もっと食べたかったという想いで数日間、嘆き明かしたのである。





「だから二人前注文したかったんや」



「だから二人前注文したかったんや」



「だから二人前注文したかったんや」



と当店女性スタッフに悪態をつくこと数日間。



誕生したのが



シャラン産鴨もも肉と牛蒡のウンブリチェッリ 16世紀、トマト伝来以前の手法で





ワンダフルソースや醤油などは使えないイタリア料理専門店の厳格な制約を踏まえながら、



塚口の味を渇望するとできました。



いわば焼きうどん風パスタ。イタリア料理でいてノスタルジアを感じさせる皿・・・・・・






美と同じく、料理も痙攣的なもの・・・・









ストーリーはあるが、条理はない。




塚口編続く
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by tre-lumache | 2010-03-31 03:11 | 塚口考

塚口編 つづき

先日のメニューの発表から幾数日後、塚口の店主がトレ ルマーケに来店され、

無事オマージュを成就したわけであるが、その日の夜から私の心に何か拘泥するものが

残った。


いや、しかしそれはその夜に突然 現れたわけではなく もしかすると 

幾年もの間に積もり積もった 本当に「泥」 のようなものかもしれない


これはいつも出来るだけ短く文章をまとめたい「ブログ」なので


その泥を掻き分け 底 にあるものの正体を探る


思考の足掻きにまつわる表現はできるだけ避けたいが、


そのせいで濁った水流のなかに 見つけたのは 果たして 



「2000年の ヴィンテージ オイルサーディン」



「ベルナルドーのオイルサーディン用 専用リモージュ皿」


であった。


これは先日、2000年のオイルサーディンとその専用皿に猥溺する氏のブログ記事を閲覧し、


オイルサーディンを大量購入する描写>


に若干の怯みを感じるものの、


その食への偏執ぶりには畏敬の念をかんじ、記憶に留めたものである。




しかし数日後、ブログの写真のその美しいリモージュ皿が私に記憶の中から蠱惑する刹那、私は激しい嫉(そね)みに襲われた。














フランス




ナジャの中の 「猫の夢」の分銅 のようにからみつく





私のなかの屈折したフランスへの憧れ・・・・・・



















つづく


(作者は気楽に書いています。心配しないでください)

 
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by tre-lumache | 2010-03-25 01:30 | 塚口考

連載読物 塚口考

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 「猫の夢」
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「猫の夢」




先日書き留めたようにフランスに恋慕する塚口の店主へのオマージュの披瀝は本懐を遂げたものの、


なぜか私にとって別の情動を引き起こしたようである。








件のブログで描かれた、リモージュ皿、フレデリック・アントンのプレ・カトラン、


パリの街のビストロも含めた現代フランスレストランなどの言葉や映像は象徴的記号


と化し、フランスとイタリアのガストロ的な優劣の論議はさておき、



個人的な美意識の面においてフランス、あるいはフランス料理への私の嫉妬を呼び覚ました。



ここでフランス、あるいはフランス料理に対する嫉みの遍歴や発端、あるいは根拠についてはまったく


記すつもりはないが、個人的な美意識の点で常に大きな情動を私のなかで引き起こすのは


間違いないようである。


 
そういった私の精神の情動に対する鎮魂歌としてメニュー化したのが


〇仏産 クロワゼ鴨のアッロースト 自家製保存瓶詰金柑のソース
 (ルネッサンス期~Papero al melarancio の 当店風)




papero al melarancio =鴨のオレンジ煮


イタリアがフランスに伝えたもの

・・・・鴨のオレンジ煮

・・・・・・・オニオングラタンスープ、ソルベとジェラート、アーティチョーク

プティポワ、トリュフ、マカロン、ブロッコリー・・・・・・


・・・・・・・・合掌。



結局 後のフランス王アンリ二世に嫁いだカテリーナ ディ メディチに

当地のイタリア人と同じく先駆論を託すしか方法がないのであった。



ちなみに今大阪で一番 嫉妬しているのがこちら。


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la cime



以前同じ職場で働いていたから嫉妬しているわけではありません。



大阪でこれから一番現代フレンチを感じさせるのではないでしょうか。


トレ ルマーケ 初の ブログリンクです。左のリンクにも入れ方がやっとわかったので


入れてます。



友達がいないわけではありません。


塚口編 完
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by tre-lumache | 2010-03-15 08:02 | 塚口考